「もったいない」という言葉を交えてもの申せば、内容がなんであれ正論のような雰囲気がします。その結果、理にかなわない発言や無礼な行動をしていても、自己正当化が起こってしまいます。
一体何が「もったいない」のか?それは、時間、空間、健康、資源、お金のどれかでしょうか?そして、それが理にかなっているか、人に向けて言うべきかどうか、立ち止まって考えてみて下さい。
いくつか分かりやすい例を挙げて説明します。
目次(Part.2)
(Part.1)>>> 悪魔の呪文「もったいない」
(Part.2)思考を停止させ、周囲を攻撃する「もったいない」
(Part.3)>>> 人間関係不和と貧困を招く、「もったいない」思考
・「もったいない、全部食べて。」
よく聞く言葉ですね。親や学校の先生が言いそうな言葉です。この言葉が正論であると思われる方は、かなりおられるでしょう。資源(食べ物・命)と購入にかかったお金がもったいないという発想が、発言の元になっているのは容易に想像できます。しかし、この言葉は極端な偏食がある人や、意図的にわがままな振る舞いをしている人にしか言うべきではないのです。
すでに満腹である人に対して言うのは、失礼もしくは虐待になります。あなたが気にかけている人が満腹になったなら、残り物は冷蔵庫に保存して下さい。保存するほどの量が無いなら、相手に見えないよう気を遣って廃棄して下さい。相手にとって食べ物が口に合わず、あまり食べなかった時も同じです。
ではなぜ、「もったいない」から食べてと催促することが、失礼もしくは虐待に当たるのか?それは、結果が考慮されていないからです。「もったいない」の呪いに思考停止させられ、言葉をぶつける相手を間違えているのです。
「もったいない、全部食べて。」を相手が従順に実行した時の結果を考えてみます。満腹なのに更に食べると、成人病と肥満を引き起こします。残飯を捨てるのが「もったいない」と感じたからと、後先を考えずに相手の健康を損なう行動を強制したのです。口に合わない食べ物の時は、健康は損なわれないかもしれませんが、気分と愛情が下がります。
では、どうやってこの「もったいない」と感じる気持ちに対処すれば良いのでしょうか?それは、「もったいない」という言葉を、自分自身または全員に向けて使うようにすれば良いのです。
残り物が出た。「もったいないから、保存できる食べ物は保存しよう。」
食べきれない量を作った、注文した。「もったいないから、次回から作る量、注文する量を考えよう。」
まずい料理、口に合わない料理を作った。「もったいないから、料理の腕を上げよう、口に合う味付けに変えよう。」
身近な場面で食べ残しが出た時は、その原因は自分にあると思って行動・発言して下さい。料理をする人、注文をする人がその面持ちでいれば、皆の身体と心の健康が守られます。
「もったいないお化け」は、食事を食べ残した人の所に化けて出るのではなく、食事を用意(注文)した人の所に出るべきなのです。
・「電灯を消しなさい、もったいない。」「エアコンを切りなさい、もったいない。」
一昔前のおじいちゃんおばあちゃん世代の方が、よく言っていた台詞です。
発言の動機になっているのは、資源とお金が「もったいない」と感じるからで間違いないでしょう。ですが、こまめに電気を消したりエアコンを消したりすることが、どれだけの電力とお金の節約になるのでしょうか?
最近のLED電球を使った照明は消費電力がとても少なく、短時間居ない時に消灯しても節約できる電力とお金はごく僅かです。エアコンは頻繁にON/OFFをすると、逆に使う電力とお金が増えます。節約のつもりが逆効果だったなんて、笑えません。
仮に僅かな電力とお金を節約できたとしても、それは使った時間と労力に見合うはずもありません。電力とお金を節約したければ、消費電力の少ない家電に買い替えれば良いだけです。周りの人にしつこく「もったいない」からどうしろ、ああしろと言って、お互いの時間を無駄にするのは不毛です。
上に挙げた例に共通して言えることがあります。「もったいない」発言をしている人が、資源、お金などに固執し、理にかなわない思考をしているにもかかわらず、自己正当化しているということです。
食べ物に関する「もったいない」・・・わずかな資源と費用のために、もっと重要な健康を犠牲にしている。
電力に関する「もったいない」・・・わずかな資源と費用のために、もっと重要な時間を犠牲にしている。
・「もったいない」は悪口
「もったいない」を好んで言う人に共通して欠落した、大切な概念があります。それは、人の「気持ち」です。いや、欠落しているというよりか、あえて無視している可能性もあります。時間、空間、健康、資源、お金と同等またはそれ以上に「気持ち」は尊重されるべきです。
「もったいない」は自分や周囲の人を卑下する悪口になることがあります。「そんなはずはない、『もったいない』は資源を大事にする良い言葉だ!」、と感じる方もおられると思います。そこがこの呪いの狡猾な所です。悪い呪文が、良い呪文のフリをしているのです。「もったいない」は周囲の人を攻撃しつつ、自己満足を味わえる悪魔の呪文です。
想像して下さい。あなたがずっと気にかけていた人物と、行動を共にする機会があるとします。好きな芸能人でも、尊敬する恩師や上司でも、ずっとデートしたかった相手でもいいです。
外食でも手料理でも、どちらでも構いません。その人は食事を少し残しました。その時あなたはどう思いますか?
「もうお腹がいっぱいになったのかな?」「料理を注文しすぎたかな?」「口に合わなかったのかな?」「体調が良くないのかな?」などだと思います。
ここで、相手に向かって「もったいない、全部食べて。」と言いますか?言いませんよね?仮に相手が「もったいないけど、もう食べれません。」と言ったら、「ほんと、もったいないですね。」と返事しますか?しませんよね?なぜなら、あなたは残飯(僅かな資源とお金)よりも、相手の気持ちや健康を尊重しているからです。
しかし、相手が自分の家族であったり、立場が下だと思っている相手に対しては「もったいない、全部食べて。命を粗末にして!!」と言う人が居ます。それは、「もったいない」という呪文を武器にした単なるイジメです。「残飯よりも、私の健康と気持ちの方が大事じゃないの?」と言い返すことができる人は、かなり稀です。
電力の場合も同じです。先に述べたような特別な相手に、「トイレの電気を消し忘れていましたよ、もったいない。」、「エアコンの設定温度を変えてください、もったいない。」などと言いますか?言いませんよね?
誰かに向かって「もったいない」と言うことは、相手に「あなたには資源を余分に消費する価値はない」、「あなたの気持ちなど、どうでもいい」、「私はあなたをイジメたい」とメッセージを暗に送ることに違いありません。相手が黙って従ったら、刹那の征服感や優越感を感じるかも知れませんが、頻繁にそれがあると相手には嫌われます。
次の記事では、「もったいない」で如何に人が不幸になるか説明します。
>>> 人間関係不和と貧困を招く、「もったいない」思考
(Part.1)>>> 悪魔の呪文「もったいない」
(Part.2)思考を停止させ、周囲を攻撃する「もったいない」
(Part.3)>>> 人間関係不和と貧困を招く、「もったいない」思考
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