「もったいない」が口癖の人=ケチな人。
一般的な印象はそうですよね。ですが、実際には"ケチな人"だけではなく"短絡的な人"でもあります。考えたくないですが、人に文句を言ってイビリたい"性悪な人"の要素も加わっていることがあります。
何かが捨てられるその瞬間のみに着目し、「もったいない」と決めつけ、その原因や裏付けを考慮せず、自身と周囲にマイナスな行動を起こします。
目次(Part.3)
(Part.1)>>> 悪魔の呪文「もったいない」
(Part.2)>>> 思考を停止させ、周囲を攻撃する「もったいない」
(Part.3)人間関係不和と貧困を招く、「もったいない」思考
・「もったいない」の多面性
前の記事で何度か例に挙げていますが、再度お付き合いください。食べ物に関する「もったいない」は、なぜ残飯ができたのかという原因追及が欠落しています。電力に関する「もったいない」は、数値の裏付けが欠落しています。本当に電力がもったいないと思うなら、節電家電を購入すべきなのですが、それを提案すると「お金がもったいない」との返事が返ってくることも。資源を気にしているのか、お金を気にしているのか、いちいちON/OFFする時間はどうなのか、人の気持ちはどうなのか。そういったことは考慮されていません。
公共事業にも当てはまります。税金で建てられた、いわゆるハコモノと呼ばれる施設や道路を思い浮かべて下さい。「莫大な血税使ってて建てたのに、潰すのはもったいない。」と、赤字営業なのに存続させる事例が多々あります。「さっさ潰さないと、お金がどんどん無駄になる。」と気づいた時には、すでに維持費で莫大な赤字が蓄積した後だったりします。世の中には、早々に見切りをつけて損切を考えた方が良い事例が沢山あります。
その一方で、人々の気持ち的にも歴史的にも、たとえ赤字になっても存続させておくべき物もあります。仮に、広島の原爆ドームが赤字運営になったとしても、絶対に取り壊されることはありません。なぜなら、「お金」よりも「気持ち(存在意義)」の方が優先されるからです。
・「もったいない」 で人間関係を損なう
「もったいないから、この要らない物を友達にあげよう。」
「この要らないものを友達にあげよう。」
「このゴミを友達にあげよう。」
「このゴミを友達にプレゼントしよう。」
四段活用できました。4つの文章を読んで、どう思いますか?ニュアンスが違うと感じた方は、「もったいない」の呪いにかかっています。
この4つのアイデアのニュアンスが違うと思っていても、実際に起こす行動は一つです。そうです、ゴミを友達に押し付けたあげく、あわよくば感謝されようとしているのです。
プレゼントだと言って、包装紙や紙袋でなんとなくラッピングしても、必ず見破られます。受け取る時は一応「ありがとう、、、」と言ってくれるかもしれませんが、しばらくしたら捨てられます。そして、もらって迷惑だったという気持ちだけが残ります。
サイズが合わない服は、リサイクルショップに持っていきましょう。人に物(食べ物)を差し上げるなら、一番良い部分を差し上げるのが洗練された大人です。
「これ、手放すんだけど、誰か要りますか?」と複数の人に尋ねるのは許容範囲かもしれません。複数の人に同時に尋ねることにより、断りやすくなりますし。
自分の持ち物なのに、「これ、あなたが要らないのなら捨てます。」という言い方はしてはいけません。何かを捨てる罪悪感を他人に押し付けることになります。相手が物をため込む気質の方であった場合、アル中の人に酒をすすめにいくようなものです。
・「もったいない」で家庭不和
とんでもない浪費が行われていない限り、できるだけ言うのを避けた方が、家庭は良い雰囲気になります。
「作った料理があまり美味しくないから、家族に食べさせず捨てよう。」
「お仏壇に故人の好物だった食べ物をお供えしよう。」
「省エネ家電に買い替えよう。」「エアコンを付けて快適な温度にしておこう。」
「料理をする暇がないから、出前をたのもう。」「掃除が行き届かないから、お手伝いさんを雇おう。」
「道行く人のために玄関のライトをつけておこう。」「夜遅いし、タクシーに乗ろう。」
「飽きた服を捨てよう。」「みんなで旅行に行こう。」「お中元お歳暮を贈ろう。」
こういった発想に「もったいない」の呪いをかける必要はありません。あなたと周囲の人の「気持ち」と「時間」が大事だからです。
身近な誰かに向かって「もったいない」発言をする前に、その発言は相手の「気持ち」を第一に考えているか?その発言で人間関係が良くなるか?を考えることが大事です。
・良縁を遠ざける「もったいない」
人徳が無い人は、「もったいない」を善行をしない言い訳にします。
「もったいないから、募金しない、ボランティアしない。」、「もったいないから、お賽銭は5円。」、「もったいないから、催し事をしない。」
時間とお金を外に向けて使わない人に、良縁は訪れません。自分の時間とお金が「もったいない」からと、内に閉じ籠っていくばかりで、外との繋がりが減っていきます。
募金・ボランティア活動を避けて生きる。神社仏閣を訪れて、お賽銭・お布施を納めない。伝統的行事・季節の催し、お祝い事をしない。周囲の人をもてなすことをしない。このような行動は人としての魅力を低下させ、良縁を遠ざけます。
正月の混んだ神社で、お賽銭5円で長々と願い事をしている人。相互扶助の理念で運営されている、年金や税金を納めようとしない人。そのような人の近くに居たいと、魅力的な人が思うでしょうか?「もったいない」からとお金と時間を自分のためだけに使い、得した気分になったり、自分は利口だと感じても、実際には良縁を逃すという大きな損をしているのです。
・人間関係での間違えた「もったいない」
誰かが、恋人関係や夫婦関係を解消しようとしている時に、「もったいない」は禁句です。
長く連れ添った人との関係を解消するのには、とてつもないエネルギーが必要です。そのため、行動を起こそうとしている本人は、思い留まるための言い訳を無意識に探しています。
「いい縁談なのに、もったいない。」、「せっかく付き合ってきたのに、別れたらもったいないよ。」、「頑張って築いた家庭を捨てるなんて、もったいない!」
こんな言葉を周囲の人が投げかけると、別れるタイミングが遅くなり傷が深くなる可能性があります。誰かに「もったいない」と言われてしまうと、何が「もったいない」のかもわからないのに、何か惜しくなってくるのが人のサガというものです。
「あなたがどんな決断をしようと、私はサポートするからね。」が模範解答です。
もし、あなたが誰かに対して「別れたら、もったいないかな、、、?」と思っているなら、今すぐ相手を自由にしてあげてください。「もったいない」は人間関係に対して使っていい言葉ではないのです。そう思った時点で、すでに大分冷めていると思われます。
・「もったいない」で謙遜したフリ
人が自分自身に対して「もったいない」を使う時のことを考えます。「こんな良い品、私にはもったいない。」と謙遜する発言を美徳と感じるか否かは、性格によると思います。自分を卑下することによって、物品の価値を高く評価する言い回しは、私は好きではありません。
良い品を誰かが贈って下さったなら、素直に「とても嬉しい」、「大事にします」と伝えた方が好感度は高いです。食品なら、美味しく食べて感謝して下さい。食品の値段は、ほぼ単純に食材の希少価値によって決まります。伊勢海老一尾でもイワシ一匹でも、命は一つです。値段が高い食品に対してのみ謙遜するのは、「世の中、金」と言っているようにも思え下品です。
いつも身に着けているものよりもグレードが高いと感じる服飾品・宝飾品を貰ったら、「これが似合うように頑張ります!」とお礼に付け加えるなど、好感の持てる謙遜の仕方をしましょう。
「私にはもったいない」を使って何かを断った場合、印象はかなり悪くなります。少なくとも、「私にはもったいない」と言いつつも受け取った場合は、単なる謙遜だと相手はわかります。しかし、断った場合、謙遜するフリをして「そんなもの要らない、でも理由を言うのは面倒。」と相手に伝えた事と同義です。とどのつまり、偽の謙遜で本心ではないのがバレバレです。「もったいない」などと言わずに、正直に受け取らない理由を言った方がお互いのためです。
交際の申し込みをされて、「私にあなたはもったいない。」と言って断る女性がいるようです。交際を終わらせる時にも使われることがあります。「もったいない」を悪用した例の一つです。本心では、相手の性格・容姿・財力に満足できず、断ろうとしている場合がほとんど。相手にはモヤモヤが残るだけで、嘘も方便にさえなっていません。
・「もったいない」でさらに貧困に
「もったいない」の呪いにかかっている人は、経済感覚・思考力が養われず、成功者にはなれない傾向があります。少しのお金のことを常に気にしている人が、はたして人生に成功し豊かな生活を送れるでしょうか?
細かい節約方法には、それを考え実行するのに結構な時間と労力を要します。例えば、テレビ番組で「家電のコンセントを抜けば、一日で数円の待機電力節約になります!コンセントを抜く台数を増やすほど節約ができます!なんと、家電5台で年間3000円の節約!」などと紹介されていることがあります。
実際に実行するのは愚の骨頂。コンセントの抜き差しに一日あたり2分かかったとしたら、年間で12時間も無駄になります。時給250円で12時間働いて3000円の節約です。これは嬉しいことですか?私は全く嬉しくないです。その12時間で本を読んだり運動をしたりして有意義に過ごすか、お金を稼ぐ努力をすればいい。わざわざ遠くのスーパーに安売り商品を買いに行くのも、同じ愚行です。
人生に成功し充実している人が、待機電力にかかる1円が惜しくて出かける前にコンセントを抜くでしょうか?あり得ませんよね。成功者は省エネタイプの信頼できるメーカー家電を購入し、他のもっと重要なことに集中します。「もったいない」からと、聞いたことのないメーカーの最安家電を購入することもありません。成功者は「安物買いの銭失い」になることを上手に回避します。
・「もったいない」で起業に失敗する
なんでもかんでも「もったいない」と思ってしまう人は、起業に向いていません。物品を必要としないコンサルティング業や、転売ヤーと呼ばれる横流し専門の商売なら向いているかもしれません。
具体的に物を作って売るメーカーの場合、「もったいない」という発想は成功の足枷になります。多くの人が購入する商品を作るには、沢山の試作品を作る必要があります。商品開発にかかる費用・労力・時間に対して「もったいない」という感情を抱くと、何も生み出すことができません。
私自身、ものづくりに携わりガラスジュエリーを作っています。ガラス細工を作る練習と商品開発のために、長い時間をかけ、相当な量の高価なガラスを使い廃棄しました。アクセサリーのパーツを大量に買って試し、同じく廃棄しました。自分の技術と商品開発のために必要だったので、「もったいない」とは思いません。処分をためらっていたら、倉庫代もかかります。
何のロスも出さず、出費を最低限に抑えてメーカー起業を成功させようという考えは、現実には通用しません。どんな規模の運営になっても、廃棄する資材や商品開発にかかる時間は発生します。お客様の「欲しい」、「綺麗になりたい」、「誰かに贈りたい」という気持ちの方が、廃棄される資材よりも大事です。私の場合、「廃棄がもったいない」と思いガラス細工を作るのをやめたら、日本の工芸品が減ってしまいます。
・まとめ
「もったいない」を頻繁にブツブツ言っていると、どうなるのか?
人生が台無しになります。
「もったいない」は、食べる物さえ十分に無かった時代の言葉です。あまり言いたくありませんが、身分階級がはっきり分かれていた時の言葉とも言えます。食材(命)を大事にしよう、身分(下民)に見合った生活をしよう、という概念で使われていた言葉です。
現代人は「もったいない」の使用法を間違え、本質を見失っています。時間を無駄にしたり、言い訳に使ったり、いじめに使ったり、嘘に使ったり、ロクな使い方がありません。
なにより、言葉そのものが古くて、使うに値しないと私は思います。
これからは何が「もったいない」のか熟考し、「無駄を減らす・効率的にする」ことに気を遣えば良いのです。そして、目先のちっぽけな事柄よりも、人の「気持ち」を優先して意思決定と発言をすれば、皆が幸せになります。
日本から「もったいない」という言葉を消滅させる必要はありません、ですが、使う人の心持ちを変化させることは必要です。
「もったいない」の古い意味は「物が有効活用されていない状態、又は、物を無駄にしてしまい残念である様子」です。
今後もこの言葉を使うなら、「人の気持ちが尊重されていない様子」を新しい意味として覚えておいてください。
(Part.1)>>> 悪魔の呪文「もったいない」
(Part.2)>>> 思考を停止させ、周囲を攻撃する「もったいない」
(Part.3)人間関係不和と貧困を招く、「もったいない」思考
下のリンクから職人タカシのガラスジュエリーショップをご覧ください。
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